市立札幌病院での出産を決め、妊婦健診(妊婦健康診査)にも実際に通院しました。その際に体験し感じた良かった点やメリット、病院の課題点やデメリット、または医師や外来助産師(看護師)の対応、病院の方針などについてまとめてみたいと思います。
Contents
市立札幌病院での出産経験
ママ子、第二子を授かったのが平成30年夏で、出産予定が平成31年春でした。
↓以前の記事↓にも書きましたが、
ママ子が産院を選ぶ際に重視したポイントは、①NICUがある病院、②費用が安い、③自宅からの距離が近い、の3点で結果として市立札幌病院に決めました。
外来の様子・待ち時間
概要
ママ子は20週目からこちらの市立札幌病院の妊婦健診を受けることにしました。
まず、産科外来(産婦人科)は3階にあり婦人科と一緒の受付です。
外来時間 | 月~金曜日 | 8:45~11:00、13:00~15:00 |
受付の左側が産科の診察室(3~4部屋あり、うち内診台がある部屋が1部屋)、受付右側が婦人科診察室(2~3部屋)あり、産科と婦人科の診察室は別となっている。
<外来の見取り図>
受付を済ませると、まずは一般的な妊婦健診と変わらない尿検査(産科尿検査できるトイレは1つしかない)・体重測定・血圧測定(各1台)・を済ませます。血圧測定は測定結果が紙として血圧測定器から出てきますが、体重測定は測定後血圧測定の用紙に自己で記入です。
すべて終わりましたら、待合で待ちます。この待合場は産婦人科向かいにある外来、心臓血管外科外来の患者と同じ場となっていますので一緒の待合場での待機となります。すべてソファー席。一部妊婦専用と設けてあるソファー席(ソファーの背もたれが肩までhighとなっている4~5名座れる)があります。どの曜日も、時間帯も比較的に席は埋まっていますが、特に午前の前半は比較的空いている方なのかなと。
ちなみに、キッズスペースや、オムツ交換台などの設備はないです。総数の雑誌や広告、子ども用の絵本が置いてあります。
待ち時間はおよそ1時間
待合で約40分待ち、呼ばれてから中待合でさらに15~30分は待ちます。予約時間はおよそであって大幅に過ぎることを見越しての予約がいいかと。また、午前での予約ですと、なるべく早めの時間帯に予約をとることを勧めます。午前の遅い時間ですと早い時間帯の人が押すと予約時間に行ってもかなり待ちます。
診察は5分未満、内診は週数関係なく毎回あります
診察は担当医というよりも曜日によって外来の医師が決まっているため、自分の都合で予約を入れる場合は医師が変更になります。
※医師によって、診察室内のプライバシーが守れていないことがあります。実際、私は毎回同じ曜日で予約を入れていましたので医師も毎回同じ人でした。その医師の場合は同じ診察室内に、カーテン仕切りのみでエコーを待つ妊婦の隣で医師が別の妊婦経過の経過を説明しているという状態でした。別の医師の場合は1対1での診察だったと思いますが…。なので、その医師に限ってはプライバシーの配慮よりも多くの妊婦を診るというような診察方針でしたので、ゆっくり相談するという雰囲気もなかったと思います。
NST(ノンストレステスト)が2台しかない
一般的に、妊娠35週前後から行う妊婦健診時に行うものです。約40分行うものですが、こちらの病院は約20分で終わります。受診者数が多いにも関わらずNSTは2台しかないため、妊娠後期の受診はNST待ちのために診察が遅くなる場合が多い。
出生前診断は行っていない
クアトロテストやNIPTなどの出生前診断を行っていないため、万が一出生前診断を希望する場合には、医師や助産師と相談の上、他の施設で受ける必要がある。
病院選択のポイント / メリット・デメリット
ポイント | ①「総合周産期母子医療センター(2006年)」に指定されている ②里帰り出産の受け入れ可能 ③立ち合い出産ができる ④「マザークラス」という母親学級がある ⑤助産師外来がある |
総合周産期母子医療センター(2006年)」に指定
「総合周産期母子医療センター」とは、周産期に関わる高度な医療を対象としている施設です。道央にお住いで万が一のことがあれば、こちらの病院に搬送されるということです。妊娠、出産にはいつ何が起こるか予想もできないため、ママ子のように心配症である方は、妊娠経過が順調でもこのような医療体制が整っている施設がいいかなと思います。
北海道では「総合周産期母子医療センター」は6施設あります。
道央 | 市立札幌病院 |
道南 | 函館中央病院 |
道北 | JA北海道厚生連旭川厚生病院 |
オホーツク | 北見赤十字病院 |
十勝 | JA北海道厚生連帯広厚生病院 |
釧路・根室 | 釧路赤十字病院 |
メリット | デメリット |
・病棟診療は、ハイリスク妊婦や分娩に24時間対応可能 | ・診療体制はハイリスク妊婦対応が前提の体制である |
【参照】周産期医療について 厚生労働省
里帰り出産の受け入れ可能
分娩は完全予約制です。そのため、妊娠初期に一度受診し、分娩予約が必要です。また、里帰り出産を希望している妊婦の方は、早めに電話で産科外来の助産師に相談することを進めます。ホームページでは「里帰り出産の人は、里帰り後(32週前後)に紹介状を持参して下さい」と記入されていますが、あくまでも分娩は完全予約制で、総合母子周産期センターですので救急搬送されてくる妊婦もいます。
立ち合い出産ができる
開催日:毎月第2日曜日の午前・午後の2回。
経腟分娩(自然分娩)の方で、妊娠37週以降、逆子ではない赤ちゃん…など条件がたくさんありますが、お産を家族とともに過ごすことができます。
「立ち合い分娩同意書」が「あり、立ち合い分娩希望される方が「ファミリークラス」に受講した際に受け取れ、出産時に持参する。
メリット | デメリット |
・「お産という時期を家族とともに過ごすことで、喜びや苦痛を共有し夫婦や親子の絆を深め新たな家族のスタートの場となるよう」と外来時の案内に記載あり
・陣痛室、分娩室は別になっている。(LDRなし) ・陣痛室は1部屋に3床ある ・分娩室は1部屋に分娩台が3台ある。 ・陣痛室、分娩室での写真撮影のみ可能 |
・立ち合い時はパートナー又は成人1名という人数制限あり。 ・子どもの立ち合いできない ・里帰り出産の方含めて、必ず妊婦と立ち合いの成人1名で「ファミリークラス」という両親学級に参加しなければ立会出産できない (ファミリークラスは基本的に妊娠32週~35週の間に受ける) ・ファミリークラスは子ども連れや他の方の参加はできない ・分娩室、陣痛室でのビデオやカメラでの動画撮影はできない。写真撮影は可能 ・分娩中に処置が必要となる場合は、立会人は退室しなければならない ・分娩室に2名以上の妊婦が入室している場合は、カーテンでの仕切りでプライバシーが守れない ・立ち合いの際は、立会人はガウンの着用する(病院で準備してくれてあるもの) |
「マザークラス」という母親学級がある
妊娠週数に合わせて病院の医師、助産師、栄養士が実施する母親学級があります。毎週水曜日の13:30~15:30の2時間行っており毎月3回実施している。赤ちゃんの発育・発達にまつわる話から、お産の経過と過ごし方、入院の準備や病棟見学など組み込まれている。
メリット | デメリット |
・料金は無料 ・週数が近い妊婦と顔を合わせられる場 ・夫と参加することによって夫に妊娠・出産・育児について興味を持ってもらえる ・産科病棟の助産師や、医師、栄養士の話がきける ・妊婦以外にパートナーや子ども連れ可能 ・妊娠中の体の変化や赤ちゃんの成長を知ることができる ・お産の経過や産後の育児について知ることができる ・不安なく妊娠から出産までの心身の準備ができる ・予約の必要がない。実施日当日受講可 |
・一回の講義が2時間と長い |
助産師外来がある
妊娠24週以降で、合併症やリスクがない正常な妊娠経過をたどっている妊婦を対象として、助産師とゆっくり相談ができる。
対象者:妊娠26週、30週、34週、37週、39週の正常経過の妊婦 日 時:毎週月・金曜日 時 間:一人30分~40分 内 容:血圧、体重測定、尿検査、腹囲・子宮底測定、保健指導、37週以降は内心、エコー |
メリット | デメリット |
・個室という環境で実施
・医師の診察では些細なことなどゆっくり相談したいと考えている方は、助産師がゆっくり相談できる ・助産師外来は必ず受ける必要はない |
・料金がかかる (妊産婦療養指導料として1回3500円)←外来で説明がないた診療明細書を確認する必要があります ・医師の診察とは別にあるため時間がかかる ・一度受け、次は受けないで、その次は受けるなどの選択ができない。要は一度キャンセルすると次回以降受けられない |
産科病棟の特徴
産科一般ベッド数は30床
基本は4人部屋で、個室は4床(個室料金は別途8000円+税/日)。
個室にはトイレ、洗面所、テレビ、冷蔵庫がついている。シャワーやソファーはない。
入院日数
自然分娩は出産した翌日から5日間入院、帝王切開(初産・経産婦とも)は出産した翌日から8日間の入院。
母子同室
・出産後24時間母子同室。いつでも預かり可能
・朝8時~10時まで沐浴と医師の診察のため赤ちゃんを新生児室に預ける
・面会時間・デイルームがある
・平日は午後1時~午後8時まで。土・日・祝日は午前10時~午後8時まで面会可能
無痛・和通分娩は行っていない
基本的に通常分娩(経腟分娩)か帝王切開での出産
LDRがない(陣痛室と分娩台が別)
陣痛から分娩・分娩後も過ごせる部屋がない。つまり、陣痛中でも分娩室に移動しなければならないです。陣痛中の移動が大変と考えている方には負担が大きく感じるかもしれません。
医師や助産師(看護師)の対応
つわりの時、吐き気が止まらないと伝えると、吐き気止めを出してくれてママ子は助かった経験がありました。他の病院は我慢するように指導されたり、漢方薬出されたりで辛いことが多い中、ママ子の状況をよく見てくれた判断だと感じました。
比較的、どの外来医師、助産師の対応は優しいです。しかし、とにかく医師も助産師も常に忙しそうなので診察中の医師への相談も、「何か困っていることはありませんか?」とは聞いてくれるものの、カーテン越しに別の妊婦はいるし、医師の傍にいるはずの助産師は慌ただしく動きまわっているので、些細なことは別に聞かなくてもいいかなという気持ちなってします。
産後1カ月健診の感想
特に産後1カ月健診という特別な枠はなく、妊婦健診に来る妊婦と同じ外来での診察です。
その際に思ったこととして、1カ月健診は全員同じ環境です。看護師経験もあるママ子の立場から感じたことは、全員が通常(普通に出産した赤ちゃん)の産後を経過している人と同じなため、万が一、赤ちゃんがNICUに入院となってしまったり、子供に障害があったっ場合、流産、死産となってしまった場合でも、通常の外来受診のため、赤ちゃんを抱いている人やこれから出産を控えているお腹の大きな妊婦の方と会うので心が痛む場合もある。病院によっては時間を調整してくれたり、1カ月健診の枠というものを病院自体も受けていたり、また子どもと一緒に退院できない方(死産や子がNICUなどにいる場合など)だけのための外来枠を設けている施設もあるようです。
まとめ
実際に市立札幌病院の産科外来に通院してみての感想・まとめです。
NICUがある総合周産期母子医療センターであり、3次救急も兼ねており、多くの診療科がある総合病院なので何かあっても安心な環境でした。通院や出産で大きく心配すべき点はなく、医療環境としては道内でも随一のレベルの高さと思います。ハイリスク出産になる方にはやはり一番良いのではないでしょうか。
その一方で、公立病院であり、融通の利かない面やサービス面は期待できない点などは課題かと思います。繊細な妊婦への配慮がもう少しあってもいいのではないかな?、と感じることもありました。
また、子どもが過ごせるキッズスペースやベビーベッドがないため、子ども連れでの健診はかなり負担が多いです。また、感染症(特にインフルエンザ)の流行シーズンでは子ども連れでの健診はなるべく控えるようにも指導を受けたこともあり、いろいろと制限がある病院でもありました。
妊娠、出産は非常に貴重な経験です。そして、出産する女性には負担もとても大きくなるので、豪華な食事や様々な妊婦向けのサービスを魅力としているところもあります。しかし、妊娠、出産はいつ何が起こるのか分かりませんので、産院選びは妊婦さんが深く考えるとともに、家族の方と十分に相談したうえで決めることをお勧めします。
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